研究概要 |
従来の脳関門輸送研究はトランスポーターの輸送への関与を定性的に示すことにとどまっている。しかし、薬物の脳移行性の制限に関わる脳関門排出輸送に真に重要な役割を果たすトランスポーターは、輸送への寄与を定量的に解明することで初めて同定することができる。そこで昨年度に再構築をおこなったKp, brain ratioをさらに発展させ、本年度はKp,brainの再構築をおこなった。Kp, brainの再構築は、Kp, brain ratioと脳及び血中の非結合型分率を求めることによって再構築できる理論構築をおこなった。非結合型分率を平衡濾過法および脳スライス法によって求め、12化合物におけるKp,brainの再構築をおこなった。その結果、9化合物について実測したKp, brainの3倍以内の値となり、再構築することに成功した。3倍以上の値となった3化合物については、P-糖タンパク質以外のトランスポーターによって輸送される可能性が考えられる。今後は、寄与するトランスポーターを増やすモデルを構築し、再構築の精度を上げることによってヒト脳関門における各トランスポーターの寄与を明らかにすることが可能となり、さらにヒト脳への薬物の分布を予測することがかの王になることが期待できる。
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