研究課題/領域番号 |
19390042
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東 純一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30144463)
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研究分担者 |
大野 雅子 大阪大学, 薬学研究科, 特別科学研究員 (50467528)
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キーワード | 個別化適正医療 / ファーマコゲノミクス / 臨床試験 / 結核治療 / N-acetyltransferase 2 / 遺伝子多型 / isoniasid |
研究概要 |
抗結核薬イソニアジド(INH)の主代謝酵素であるN-acetyltransferase 2(NAT2)の遺伝子多型は、結核標準化学療法における臨床効果の個人差に顕著な影響を及ぼす。NAT2活性の低い遺伝子型(SA)保有者では薬剤性肝障害の発症率が高く、変異遺伝子型を有さない者の中には効果不十分な例がある。一方、遺伝子多型頻度には人種間差が存在するため、PGx臨床試験においては異なるポピュレーションによる評価が重要となる。本研究では、結核の個別化適正治療法を実現するために、国際規模で行うファーマコゲノミクス(PGx)臨床試験を核としたクリティカル臨床研究を実施した。 1)NAT2遺伝子型別のINH投与法の妥当性(安全性と有効性)を従来の標準投与法と比較するため、グローバルな検証的PGx試験を実施した。日本国内において実施中の多施設臨床試験は被験者登録を終了した。欧州の研究グループと共同立案したグローバル臨床試験も開始され、症例集積中である。 2)臨床研究データを基にDecision-Treeモデルを構築して検討した結果、提案するゲノム与薬法が費用対効果の面で優れることがわかった。3)前向きコホート研究において、NAT2単独で予知困難な薬剤性肝障害のPGx因子を探索した結果、発現群と非発現群との間に有意な差を示す新規CYP2E1ハプロタイプおよびGSH関連酵素の遺伝子多型を見出した。以上、結核の個別化適正医療の実現に向けた一連の研究を通して、「PGxアプローチによる医薬品評価のためのクリティカル・パス・リサーチ」システムを構築できた。
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