研究概要 |
(1)miRNAによるCYP3A4発現制御-(a)CYP3A4遺伝子3'-UTRの多型解析;+683C>T,+766T>T(del)、2種類のSNPsをそれぞれ、4%,15%の頻度で認めた。(b)CYP3A4 3'-UTRにtarget siteを持つmiRNAの検索;塩基配列の相補性や結合自由エネルギーより、候補として、2種類のmiRNAを選択した。(c)SNPsの結合エネルギーへの関与;二次構造の変化より、+766T>T(del)でmiR-511の結合能の低下が予想された。(d)luciferase(LUC)assayによる機能評価;CYP3A4 3'-UTRをLUC vectorに連結し、SNPsと各miRNAの関与を検討した。その結果、2つのSNPsはmiRNA干渉に関与しない事、miR-411による蛋白発現の制御が観察された。CYP3A4活性の個人差として、miRNAの関与が強く示唆された。 (2)miRNAによるMDR1発現制御-(a)MDR1遺伝子3'-UTRの多型解析;+187G>C,+193A>G、2種類のSNPsをそれぞれ、2%,28%の頻度で認めた。(b)3'-UTRにtarget siteを持つmiRNAの検索;3種類の候補、miR-27a,374a,561を選択した。(c)luciferase(LUC)assayによる機能評価;MDR13'-UTRをLUC vectorに連結し、SNPsと各miRNAの関与を検討した。その結果、miR-27aとmiR-374aが同程度に、SNPsの有無に関わらず蛋白発現を抑制することが明らかとなった。さらに、両miRNAを共発現させ、影響を評価したところ、相乗的な発現抑制が観察され、両miRNAの発現への関与が明らかとなった。さらに、ヒト胎盤を試料に両miRNAの発現を調べた所、両者の発現量には、有意な正の相関を認めた。臓器に発現するMDR1の大きな個人差を規定する要因として注目される。
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