研究概要 |
1 肺癌におけるPK/PD関連遺伝子のCNV解析 癌部と非癌部のCopy Numberを比較すると、癌部においてバラつきが大きくなる傾向があり、癌部と非癌部ではCopy Numberが異なることが示唆された。さらに詳細に調べるため、患者背景(組織型、TNM分類、血管浸潤、リンパ管浸潤、腹膜浸潤、分化度)により群分けを行った。その結果、扁平上皮がんよりも腺癌の方が、リンパ管浸潤陰性よりも陽性の方が、癌部におけるmRNA発現量が高いという結果が得られた。また、ABCC1,ABCC2,ABCC11のような遺伝子は少数ではあるがCopy Numberが大きく変化している検体が存在した。 2 miRNAによるDPD遺伝子の制御 reporter gene assayの結果から4種類のmiRNAがDPYD 3' UTRに作用する可能性が示唆されたが、3' UTR上の遺伝子多型の影響は認められなかった。これら4つのmiRNAはDPD protein levelを低下させ、そのうちの1つはDPD proteinを最大70%低下させた。肺組織におけるmiRNAの発現量には検体間で大きな個人差が認められた。 3 有機カチオントランスポーターのインプリント解析 ヒトOCT2遺伝子発現量の個人差は、ロスオブインプリンティングにより生じていることが示唆された。またヒストンアセチル化は遺伝子のアリル発現活性に、ヒストンメチル化は発現抑制に働くことが示された。これまで、マウスAirn遺伝子や他のインプリント遺伝子は、ヒストン修飾を介してクラスター内遺伝子の発現を制御していることが報告されており、OCT2遺伝子はヒストン修飾を介して発現制御される可能性が示唆された。
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