研究課題
我々は、形成期の大脳皮質脳室帯において、フィラミンAの分解が制御され、その制御をもとに脳室帯からの細胞移動開始がコントロールされる仕組みを見いだした。さらに、LL5分子がフィラミンAに結合すること、そしてLL5のノックダウンにより大脳皮質神経細胞の移動停止が起こること、さらにはその移動停止はフィラミンAの同一細胞内強制発現によりレスキューされることを見いだした。これらの事実はLL5の大脳皮質神経細胞移動の調節機構は主にフィラミンAの発現量によっていることを示唆する。一方、LL5は、フォスファチジルイノシトール3リン酸PIP_3に高い特異性で結合しうるpleckstrin homology domain(PH domain)をその分子内にもつ。このことは、LL5が細胞膜上のPIP_3に依って、細胞内にて時間空間的に制御されていることと考えられる。以上を踏まえ、以下の実験を行った。実験:神経細胞におけるフォスファチジルイノシトール分子によるLL5の活性制御機構の検討・ PIP_3に親和性の高いPH domainに蛍光タンパクを融合させた分子を大脳皮質神経細胞に発現させ、移動神経細胞についてPIP_3分布を時空間的に解析したところ、移動神経細胞の先端方向の突起に、PIP_3の局在を見いだした。なお、LL5の本来のPH domainを別の分子由来の、異なるフォスファチジルイノシトール分子へ親和性の高い、PH domainと置き換えての検討については、現在変異分子を作成中である。実験:LL5の結合分子からみた細胞内局在・機能制御の解明LL5のフィラミンAとの結合部位が、従来とは異なる部位であることを見いだした。さらに、LL5の新たな結合分子を、数種同定し、その解析を進めた。
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