研究概要 |
Sonic hedgehog(Shh)は神経管の腹側化因子として重要であるが、Shhが胚の眼の原基に発現することから、Shhシグナルがの発生にも関与しているとえられた.本研究では、マウス胚の眼原基におけるShhと関連遺伝子の発現を詳細に解析し、以下のことを明らかにした. (1)Shhほ眼杯茎(optic stalk)におけるPax2の発現を誘発し、眼杯(optic cup)におけるPax6の発現を抑制する. (2)Shhは、Vax1, Vax2, Pax2の発現を活性化することによって眼杯の近位-遠位軸および背腹軸の形成に関与する。 (3)発生中の眼の網膜の背側部にBmD4が発現し、それがTbx5の発現を活性化することによって、腹側化因子であるShhと拮抗する. (4)Smoothened(Smo)は、Shhシグナルのへのにる分子でる.Smoのコンディショナルノクアウト(CKO)マウスを作製して解析したところ、Smo CKOマウス胚では、眼杯の腹側の陥入が障害されたが、背側部と眼杯茎は正常に分化した.Smo CKOマウス胚におけるPax, Vax, Bmp4の発現を調べたところ、眼胞におけるBmp4の発現が増強し、Vax1とVax2の発現が低下していた.さらに、やや遅れてPax2, Pax6の発現も抑制された.この結果から、Smo CKOマウスでは、眼杯全体でBmp4の発現が増強することによって腹側化因子であるShhシグナルが抑制され、その結果、Vax1, Vax2の活性化が起こらないために眼球の腹側の分化が障害されて、眼の発生異常が誘発されると考えられた.
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