研究課題/領域番号 |
19390055
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
鍋倉 淳一 生理学研究所, 発達生理学研究系, 教授 (50237583)
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研究分担者 |
石橋 仁 生理学研究所, 発達生理学研究系, 准教授 (50311874)
渡部 美穂 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特任助教 (10399321)
高鶴 裕介 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特別協力研究員 (30446265)
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キーワード | グリシン / GABA / スイッチ / 発達 / 聴覚 / パッチクランプ |
研究概要 |
本申請では、聴覚中継路核である内側台形体核(NMTB)から外側上オリーブ核(LSO)への抑制性回路の伝達物質がGABAからグリシンにスイッチするという申請者らの以前の実験結果を受けて、未熟期における主要伝達物質GABAが、なぜ同様にCl-チャネル(GABA-A受容体とグリシン受容体)を活性化するグリシンヘスイッチするのか、なぜ、未熟期にはGABAを情報とする回路が必要なのか、その意義についてGABAとグリシンの作用の相違をもとに考察した。特に、GABAのみに存在する代謝型受容体(GABA-B受容体)の発達変化による伝達物質GABA-グリシン発達期スイッチへの関連について検討した。 NMTBからLSOへの入力には、未熟期(生後1週間)マウスではGABA-B受容体が発現しており、その活性化によってGABA/グリシン伝達が抑制される。しかし、発達に伴いLSOへ入力する終末のGABA-B受容体の発現および機能は漸減し、成熟期には伝達物質がグリシンヘスイッチするとともに、GABA-B受容体の機能も消失する。幼若期におけるGABA-B受容体の発現意義を検討するために、GABA-B受容体ノックアウトマウスをもちいて検討した結果、ノックアウト動物では、成熟後においてNMTBからLSOへの入力機能:連続刺激によるdepressionに大きなばらつきが観察された。このばらつきはシナプス終末からの伝達物質放出効率に入力する細胞聞の不均一性によることが判明した。つまり、幼若期のGABA伝達およびそれによるGABAB受容体の活性化は、入力線維および入力細胞間の均一化に寄与していることが示唆された。
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