研究課題
聴覚中継路核である外側上オリーブ核(LSO)への抑制性入力において伝達物質がGABAからグリシンへ発達スイッチすることを受けて、同じクロールチャネルを開口させる伝達物質にもかかわらず、何故幼若期にはGABAを伝達物質として使用しているのかその意義を解明するために、グリシンでは活性化されずGABAのみで活性化される代謝型GABAB受容体に注目した。LSOに入力する抑制性シナプス応答は生後0-5日目ではGABAB受容体アゴニストであるバクロフェンで大きく抑制された。しかし、生後10日目以降ではその抑制は観察されなかった。このGABAB受容体の発達消失は起始核である内側台形体核神経細胞におけるGABAB受容体mRNAが発達減少することでも確認された。未熟期にGABAB受容体が発現している意義について検討するために、GABAB受容体ノックアウトマウスを用いてLSOに入力する回路の発達を検討した。その結果、GABAB受容体ノックアウト動物では、成熟後においてもコントロールと比較し、シナプス応答の大きなばらつきがあり、また、その原因を検討した結果伝達物質放出メカニズムのうち伝達物質放出効率のばらつきが原因の一つである可能性が示唆された。この結果から、幼若期に伝達物質としてGABAを使用している生理学的な意義として、GABAB受容体の活性化を介して、入力する抑制性回路の均一化を起こしている可能性が示唆された。
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