研究概要 |
1.母体ストレスモデルマウスの作成と仔マウスへの影響の評価:[福田] 妊娠15日目から3日間,45分間の光刺激下での拘束ストレスを毎日3回母マウス(GAD67-GFPknock-inの+/-ないし+/+)に与えた。+/-の母体は+/+の母体より,コントロール群でもストレス群でも有意に血中コルチコステロンが増加していた。胎生17.5日目の胎仔体重,コルチコステロンはストレス群で有意に減少,増加していた。また,+/-の母体の胎仔の変化がより大きかった。母体ストレスの有効性が確認されたので,+/+の母体にストレスをかけ+/-胎仔への影響を評価する系が出来た。 2.GAD67-GFP knock-in マウスのfocal freeze-lesion(FFL)モデルの作成:[熊田,福田] GAD67-GFPknock-inマウス母体にBrdUを投与し,E14.5あるいはE17.5に発生した皮質板細胞をラベルした。生後0日齢で大脳皮質FFLを作成し,4日後に脳切片をつくり観察した。興味深いことに,necrotic centerを囲むようにGABA細胞が集積していた。GABA細胞の外周に皮質板細胞の移動が確認され,移動してくるのはE17.5に発生した細胞でE14.5発生の細胞は移動していなかった。 3.胎仔脳内タウリン欠乏モデルの作成:[古川,森島] 胎仔タウリンは大部分母体由来なのでD-システインスルフィン酸(10mM/kg)をGAD67-GFP knock-inマウスの妊娠13-15日に24時間毎に母体に腹腔内投与してタウリンの合成を阻害したところ,genotypeに関係なくHPLC法で測定した細胞外タウリン濃度は約50%減少していた。免疫組織化学法では,タウリンは辺縁帯と脳室下帯の細胞にきわめて高濃度に存在していた。しかし,タウリン欠乏モデルにおいてもこれらの分布に目下のところ顕著な差は無かった。したがって,各種ストレスによって細胞移動やタウリン分布の変化を検討することの出来るモデルが完成した。
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