研究課題
本研究では、巨核球の終末分化に必須の因子であるNF-E2による新しい遺伝子発現制御機構を明らかにし、それを通して巨核球の成熟と血小板形成における新たな制御機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、以下の結果を得た。巨核球の分化・成熟には、酸化ストレスが促進的に働くことを見いだし、それに伴う酸化ストレスの増大は、NF-E2が同じ結合配列を介して酸化ストレス応答因子の転写活性化因子であるNrf2の機能を競合的に阻害するためであることを明らかにした。NF-E2は、MARE配列を介してDNAに結合するが、遺伝子によっては、転写活性化に機能する一方、転写を抑制する場合があることが示唆された。そこで、この分子機構を明らかにするために、NF-E2を含む転写複合体を精製し、その構成因子の解明をすすめている。また、NF-E2機能の低下は、血小板数の減少をもたらすが、より軽度の機能低下の場合は、血小板数はほとんど変化せず、その活性化能が低下することが示唆された。NF-E2機能の改変により血小板機能を変化させることが可能であれば、新しい抗血小板剤の開発にもつながる可能性を視野にいれ、NF-E2機能と血小板機能の相関の、より定量的な評価をすすめている。
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