研究課題
タンパク質をコードするmRNAは核外に輸送されで翻訳されるため、mRNAの核外輸送は遺伝子発現の重要な制御ステッブのひとつである。スブライシングされたmRNA上に形成されるEJC(exon junction complex)と呼ばれる複合体中のREF(RNA export factor)が、mRNAの核外輸送を担っているとのモデルが考えられている。最近我々は、mRNAのキャップ構造にもREFが結合することを見出した。REFのRNA結合部位を調べたところ、キャップ構造よりも100塩基下流の部位に結合することが示された。REFはDExD box型RNAヘリカーゼであるUAP56/BAT1と強固に2量体を形成していることから、UAP56によるRNPリモデリングが生じ、キャップ構造から下流のmRNA上へ移動する機構があるのかもしれない。REFはCBP 20に主として結合していたが、この複合体にはSRPK1もカップリングしており、リン酸化制御を示唆するデータが得られた。このことは、キャップ構造によってRNA上に呼び込まれるREFがイントロンレスmRNAのスプライシングに依存しない核外輸送を担っている可能性を示している。また単純ヘルペスのmRNAはウイルスクンパク質1CP27がREFと相互作用することにより核外へ輸送されているが、我々の解析ではICP27は、PMLをコードするmRNAのスプライシングを制御するスプライシング調節因子としての機能を有することが判明した。このことは、ウイルス感染のより、感染細胞の特定のmRNAのスプライシングパターンが変化することを意味しており、極めて興味深い。
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