研究概要 |
Drosophilaの癌抑制遺伝子dlgのヒトホモログのコードする細胞膜裏打ち蛋白質Dlgの下流に,Runxが存在し,Runxの作用によってWntシグナルのインヒビターsFRP2の発現が誘導され,その結果Wntシグナルの抑制が起こることを見出した。 そこで,1)DlgからRunxに至るシグナル伝達経路を構成する因子群を同定するために,共沈する蛋白質を網羅的に質量分析によって解析し,A-MybがRunxと複合体をつくることを見出した(産総研 夏目徹博士との共同研究)。C-Myb,B-Mybは複合体を形成しないと考えられた。 2)B細胞の分化におけるDlg-Runx-sFRP2-Wntシグナル伝達経路の生理的重要性を明らかにするために,IL-7を添加したメチルセルロース培地でのPreBコロニーアッセイを行った。その結果,Dlg-/-細胞ではProBからPreBへの分化に異常があることが確認された。さらにレンチウイルスを用いてSFRP2を過剰発現してDlg-/-血球系細胞におけるB細胞系の異常がrescueされることを明らかにした。 3)Dlg-/-マウスの腎臓,心臓におけるsFRP2の発現を調べたが顕著な異常は見出せなかった。 4)ヒト乳癌培養細胞株35種類についてDlgの変異を検索したが,意味があると考えられる変異は見出されなかった。Drosophilaの癌抑制遺伝子dlgのヒトホモログのコードする細胞膜裏打ち蛋白質Dlgの下流に,Runxが存在し,Runxの作用によってWntシグナルのインヒビターsFRP2の発現が誘導され,その結果Wntシグナルの抑制が起こることを見出した。
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