トボイソメラーセIIαは細胞増殖と細胞死に不可欠であるが、細胞にストレスが加わった際のトポイソメラーゼIIα制御の分子機構は、まだ完全には解明されていない。本研究は、酸化ストレスがトポイソメラーゼIIαへ与える影響を解析した。酸化ストレスを加えると、トポイソメラーゼIIαの活性と発現は低下し、このとき酸化ストレス依存的にトポイソメラーゼIIαのゴキチン化の亢進が見られた。遺伝性乳癌原因遺伝子であるBRCAlは転写制御、チェックポイント機構の制御、DNA損傷修復等に関与し、また、RING finger domainによるE3ユビキチンリガーゼ活性を持っている。さらに、BRCA1は酸化ストレスによる損傷修復に関与しているという報告もある。そこで、BRCAlが酸化ストレスによるトポイソメラーゼIIαのユビキチン化を制御し、DNA損傷修復に関与していると推測した。RbはDNA損傷に応答してチェックポイント機構を活性化し、DNA修復に関わる遺伝子の発現を制御すること、トポイソメラーゼIIαおよびBRCAlと相互作用することが報告されている。まず、BRCAlの過剰発現により、トポイソメラーゼIIαのユビキチン化の亢進、活性の一部低下を確認した。これはBRCA1がユビキチン化を誘導することにより、トポイソメラーゼIIαの活性制御に関わっていることを示す。また、酸化ストレスによりトポイソメラーゼIIα、BRCAl、Rbの相互作用が強まり、RbをノックダウンするとトポイソメラーゼIIαとBRCAlの相互作用が減弱することを明らかにし、BRCAlとRbが、これらのトポイソメラーゼIIαを制御している可能性を示した。結論として、酸化ストレスが加わるとトポイソメラーゼIIαはRbと共同したBRCAlによるユビキチン化によって機能制御されることを明らかにした。
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