研究課題/領域番号 |
19390087
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 穣 京都大学, 放射生物研究センター, 教授 (30281728)
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研究分担者 |
石合 正道 京都大学, 放射生物研究センター, 准教授 (90298844)
冨田 純也 京都大学, 放射生物研究センター, 研究員 (50511367)
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キーワード | DNA修復 / チェックポイント / ファンコニ貧血 / ユビキチン化 |
研究概要 |
チェックポイントキナーゼであるATMとATRは、ゲノム傷害を検知し下流のエフェクター群を活性化する最上流のキナーゼと考えられている。ATR変異細胞(Seckel症候群細胞)やATRノックダウンでD2モノユビキチン化が低下するため、FA経路の上流にあるのはおそらくATRキナーゼであると考えられている。しかし、実際にどのFA分子がFA経路活性化に必須なリン酸化基質なのかは不明であった。 我々は、新規に同定されたFANCI遺伝子のモノユビキチン化サイト近傍のS/TQクラスタードメインの進化上保存された6つのリン酸化サイトに注目した。そしてFANCI欠損細胞に、リン酸化不能型(Ax6)とリン酸化ミミック型(Dx6)のFANCI変異体を発現させ、FANCI蛋白質のリン酸化こそがコア複合体活性化の引き金を引くことを明らかにした(Nat Struct Mol Biol. 2008 Nov; 15 (11): 1138-46.)。実際、Dx6の発現で、構成的なFANCD2、FANCIモノユビキチン化とフォーカス形成が観察された。 FANCIのリン酸化とそれによるコア複合体の活性化の分子機構を明らかにするためには、FANCIリン酸化に伴う分子間相互作用の変化を捕まえる必要がある。そこで、既知のヒトFA分子(BRCA2以外)をすべて酵母2-ハイブリッドベクターにクローニングし、総当たり戦でヒトFANCIとの相互作用について検討を行い、あらたにFANCIとFANCLの相互作用を見いだした。したがって、FANCIのリン酸化によってFANCD2がE3リガーゼであるFANCLの近傍に位置することによりFANCD2のモノユビキチン化がスタートするものと考えている。今後、このモデルをさらに検証してゆきたい。
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