研究課題
ABCC11多型の乳癌、乳房、初乳、腋窩臭症への関与の検討:(a)インフォームド・コンセントの基に91名の女性乳癌患者のABCC11遺伝子型頻度、アレル頻度を同一地域の127名の一般集団と比較・検討した結果、両者に差はみられなかった(0.862 vs 0.890、p=0.310)。この結果は少なくとも腫瘍型を無視した乳癌全体におけるABCC11の役割は大きくはないことを示す。(b)225名の産婦におけるABCC11遺伝子型と初乳量と比較検討した結果、乾型耳垢型産婦(155名)からの出産後24時間の初乳量は湿型産婦(70名)に比べて有意に少なく(p<0.03)、それも24時間以内の初乳分泌を欠く乾型産婦が多かった(p<0.0002)。(c)未産婦および腋窩臭症患者の集積を開始し、前者では乳房サイズと後者では腋窩臭症とABCC11遺伝子型との関係を解析中である。ABCC11内外多型を指標にした全国県別地図の作成と、弥生人型日本人の起源、移動、拡散の推定:47都道府県の33スーパーサイエンスハイスクールの高校生ボランティア25〜50名から集積した爪試料におけるABCC11多型(c.538A/G)の遺伝子型解析を行いアレル頻度を算出し、乾型耳垢型に特有のアレル538Aに関する日本地図を作製した。途中経過ではあるが、この結果から乾型耳垢型を日本列島に導入したと考えられる弥生人型日本人の移動と拡散経路が推定できる。ABCC11の修飾遺伝子の同定:ウクライナ医科大学の協力を得て、白人ボランティアから、耳垢の多寡、腋窩臭の強弱に関する臨床情報と爪試料の収集を開始した。現在50数名の試料が収集済みである。
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Journal of Biochemistry 46
ページ: 7678-7693
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