研究課題/領域番号 |
19390096
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小林 圭子 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70108869)
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研究分担者 |
飯島 幹雄 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (00305111)
佐伯 武頼 徳島文理大学, 健康科学研究所, 教授 (10056070)
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キーワード | citrin / SLC25A13 / 成人発症II型シトルリン血症(CTLN2) / 胆汁うっ滞性新生児肝炎(NICCD) / aspartate-glutamate carrier / NADH shuttle / malate-aspartate shuttle / glycerophosphate shuttle |
研究概要 |
本研究の目的は、多彩な病態像を示すcitrin欠損症を分子遺伝学的に診断し、CTLN2と肝癌に焦点をあてた病態発症の分子機構と要因を明らかにし、治療・予防法の開発に応用することである。研究成果を下記に列挙する。 (1)Citrin欠損症の診断と病態像の把握:SLC25A13遺伝子上に30種の新規変異を同定し、多数のcitrin欠損症を分子遺伝学的に診断した。また、変異ホモ接合体18例(1-33歳)で定量的栄養調査を行い、citrin欠損症では摂取エネルギー比で糖質の割合が37±7%と少ないこと(一般の日本人55-60%)を明らかにした。 (2)SLC25A13変異頻度検索:日本人症例で同定した新規retrotransposal insertion (IVS16ins3kb)変異が中国・韓国人症例でも比較的高頻度に検出されたので、保因者検索(日本:1372名・中国:2548名・韓国:2229名解析)を行ったところ、日本人で1名の保因者を検出した。 (3)病態発症の分子機構と遺伝要因の解析:Mitochondrial glycerol-3-phosphate dehydrogenase (mGPDH)はヒトに比べてマウス肝で活性が高いため、citrinとmGPDHの両方を破壊したdouble-KOマウスを作成した。その結果、高アンモニア血症、シトルリン血症、低血糖、糖質毒性などヒト症状が出現し、疾患モデルマウスの確立に成功した。これは、mGPDH遺伝子の発現量が病態発症に関わる可能性を示唆している。 (4)Citrin欠損による酸化還元ストレスと肝癌発症機構の解析:肝癌細胞株Hep3B-cellを用いてshRNAによるcitrin-knockdownを行ったところ、細胞の生存率が低下し、apoptosisが誘導されることを見いだした。一方、絶滅寸前にあったcitrin-KOマウスの繁殖に成功したが、鹿児島大学動物実験施設の空調工事(平成19年10月〜12月)に伴い、マウス飼育数の減少と繁殖中断を余儀なくされ、欠損マウスを用いた実験が滞っている。
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