研究課題
動脈硬化及び血栓形成実験:本年度では、まずCRP発現の異なる2系統(HとL)を繁殖して、高脂肪食を16週間負荷させて動脈硬化実験を行った。正常ウサギと比べ、Tgウサギの血中の脂質やリポ蛋白の変化は認められなかったが、腎臓や肝臓、肺などには大量のマクロファージの浸潤が観察された。Tgウサギの大動脈硬化および冠状動脈硬化の病変程度および病変内の細胞成分が正常ウサギと比し、明らかな差が認められなかったものの、Balloon-injuryにより誘導された血栓の形成が著しくCRPの発現により亢進されている。その機序を検討するために、ウサギ平滑細胞を培養し、Tgウサギの血中から精製したCRPを添加して、平滑筋細胞の組織因子の発現を調べた。CRPは平滑筋細胞の組織因子の発現を誘導できた。さらに、病変内の組織因子を調べたところ、Tgウサギの病変には組織因子の高発現が認められた。上記の研究成果は5月にアメリカワシントンDCで開催される動脈硬化学会で発表が予定されているとともに、原稿はすでに投稿中である。CRPはウサギの補体を活性化させる:ウサギに導入されたヒトCRP遺伝子は本当にウサギの体内で生理機能を発揮できるかを確認するために、Tgウサギの血液からCRPを精製して、補体化実験を行った。ヒトのE-LDLに誘導された補体活性化は、精製したCRPの添加によって促進された。Tgウサギに発現しているCRPが生理機能を有していることが判明した。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Thromb Res 123
ページ: 653-658
Curr Opin Lipidol 19
ページ: 631-636
Am J Pathol 172
ページ: 1419-1429
http://www.med.yamanashi.ac.jp/clinical_basic/pathol01/