研究課題/領域番号 |
19390100
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北澤 荘平 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (90186239)
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研究分担者 |
武中 篤 鳥取大学, 医学研究科, 教授 (50368669)
梶 博史 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (90346255)
北澤 理子 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (00273780)
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キーワード | 非CpGアイランド / メチル化 / 遺伝プロモータ / 膀胱癌 / 造血細胞 / 転写因子 |
研究概要 |
種々の遺伝子の転写調節領域に存在するCpG-islandのメチル化は、遺伝子発現を抑制的に制御する。私どもは、非CpG-islandのシトシンメチル化による転写制御に着目して研究を行った。 本邦とミャンマーの膀胱癌におけるBAMBI(TGFシグナル経路の偽受容体)発現の比較検討、遺伝子プロモータメチル化と組織学的gradeや深達度との関連に関する臨床病理学的研究を取りまとめ、病理組織検体を用いた解析方法を磯立した。即ち、パラフィン包埋病理組織標本にて、尿路上皮腫瘍成分と、非腫瘍部からmicro-dissectionで回収した微小検体を、アガローズビーズに包埋して、TGFシグナル経路の一連の因子についてDNAメチル化を解析した。 腎不全の病因に関する研究として、ラット糖尿病性腎症における酸化的ストレスと、増殖に関与する細胞周期関連遺伝子P16の発現制御を検討した。糖尿病性腎症では、酸化的ストレスマーカー8OHdGの増加とP16蛋白発現の低下を示した。糖尿病マウスにおけるメチル化頻度の増加については、CpGのみならずTATA-box近傍のnon-CpGのシトシンメチル化頻度が高く、酸化的ストレスに対する治療介入実験により、メチル化頻度が減少することを示した。さらに、メチル基転移酵素dnmtに着目して、尿細管上皮の過形成から腫瘍発生までの病変を段階的に解析した。尿細管上皮過形成ではP16は高発現であるが、やがて顕微鏡レベルの結節形成に一致してdnmt3Bの特異的亢進、de novoのCpG非依存的なde novo methylationが起こり、その後dnmt1による選択的な維持メチル化によりCpGに集積していくことが明らかになった。 以上の研究成果のうち、TGFロシグナル経路の知見は、Cancers誌に投稿、掲載された。糖尿病による酸化的ストレスと腫瘍発生の知見は、第99回日本病理学会総会で報告し、論文投稿準備中である。
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