研究分担者 |
高垣 洋太郎 東京女子医科大学, 国際統合医科学インスティテュート, 教授 (50281324)
眞崎 知生 東京女子医科大学, 国際統合医科学インスティテュート, 教授 (60009991)
山本 雅一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60220498)
羽鳥 隆 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50208550)
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研究概要 |
膵臓がん発生進展の分子機構の分子生物学的解析から膵臓がんの予防、診断,治療に有用な分子を見いだすことを目的とし,以下の解析を行った。 I. MAPK1下流標的遺伝子の網羅的発現抑制解析 MAPK下流標的遺伝子79遺伝子に対し,個別に特異的なshort interference double strand RNA(siRNA)を設計合成し、in vitroにおいて膵臓癌培養細胞に導入して標的遺伝子の発現抑制を行った。結果,標的とする遺伝子の発現抑制により細胞増殖は種々の程度に抑制された。同一遺伝子に対する異なる配列のsiRNAを用いても同様の増殖抑制効果が得られることを確認した。さらに、持続的抑制効果を検証するためshort hairpin RNA(shRNA)を発現するベクターを構築し、それを導入して細胞のコロニー形成能を検討した結果、標的によって強い増殖抑制活性を示し,幾つかはほとんどコロニーが形成されなかった。正常細胞に対する効果を検索するため正常膵管上皮細胞HPDE(Dr. Tsao, Ontario Cancer Center/Princess Margaret Hospital, Toronto, ON, Canadaの好意により供与)をもちいてsiRNAによる遺伝子ノックダウンの効果を解析した結果,正常細胞では増殖抑制効果が癌細胞に比べて弱かった。以上より,MAPK下流遺伝子群から発現抑制により癌細胞特異的に増殖抑制効果を示す遺伝子群を同定した。 II.遺伝子発現解析 上記遺伝子群中,新規分子についてその産物に対する特異的抗体を作成した。 III.遺伝子機能の解析 RNA interferenceによる癌細胞増殖および生存の抑制効果のメカニズムを知るため,siRNA導入後細胞を回収し,DAPIで染色してDNA含量をflowcytometryで測定し,細胞回転の変化を解析した。結果,癌細胞はsiRNA導入によりG0/G1静止あるいはG2/M静止となり、apoptosis型細胞死に至っていた。
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