研究分担者 |
高垣 洋太郎 東京女子医科大学, 国際統合医科学インスティテュート, 教授 (50281324)
眞崎 知生 東京女子医科大学, 国際統合医科学インスティテュート, 教授 (60009991)
山本 雅一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60220498)
羽鳥 隆 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50208550)
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研究概要 |
本研究はRNA干渉法によるMAPK下流標的遺伝子の網羅的発現抑制による表現型スクリーニングと分子機能解析により、極めて予後不良な膵臓癌に対する分子診療標的として有用な分子を見いだすことを目的とした。計画に基づき結果を述べる。I.同定分子標的候補の機能解析:MAPK関連下流標的候補分子について以下により癌細胞における機能解析を行った。1)組み替え蛋白発現による細胞内局在を細胞機能に関連して解析する。結果,GFP結合蛋白発現ベクターを構築し,細胞内局在と相互作用関連分子について検討し,核内スペックルパターンを示す分子とその関連分子との関係を明らかにした。2)特異的抗体を作製し,細胞内局在,正常組織内発現,癌組織内発現について解析する。結果,抗体を作製し、局在を確認した。3)RNA干渉法による発現抑制により変化する蛋白発現について解析する。結果,発現が変化する蛋白を網羅的に明らかにした。4)信号伝達経路、細胞分裂との関連について解析する。結果,細胞回転停止と細胞死誘導を認めた。II.造腫瘍性の解析:誘導的RNA干渉ベクターを用い,マウスゼノグラフトモデルにおいて候補分子の造腫瘍性に対する効果を解析する。結果,RNA干渉誘導効果が弱いため,誘導効果を増強する必要があった。III.実験的分子標的治療:2本鎖干渉RNAを用い,マウスゼノグラフトモデルにおいてin vivoでのMAPK下流標的候補分子の抗腫瘍効果について直接注入法,静脈内投与法により抗腫瘍効果の解析を行う。結果,腫瘍縮小効果にばらつきが認められ,投与法をさらに工夫する必要があった。以上より,膵臓癌に対して有用な新規分子診療標的として、SON,PBK,CENPA,WDR5,MCM5を同定し,各々に対し有効な短2重鎖RNA配列を「膵臓癌治療用の組成物」として特許出願するに至った(特願2009-229503)。
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