研究課題/領域番号 |
19390113
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 透 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50280962)
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研究分担者 |
北島 健二 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (10346132)
樽谷 勝仁 大阪大学, 兵庫医科大学・医学部, 講師 (30301261)
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キーワード | Akt / GSK3β / 幹細胞 / 上皮幹細胞 / 毛包幹細胞 / 生殖幹細胞 / ES細胞 |
研究概要 |
幹細胞は、自分自身をつくりだす「自己複製能」と機能的な分化細胞をつくりだす「分化能」を合わせもつ細胞である。本年度は、以下の3つ幹細胞システムにおいて、リン酸化酵素AktおよびGSK3(glycogen synthase kinase 3)のシグナルが担う機能について解析をおこなった。 1、休止期の毛包においてAktシグナルを活性化させると、新たな発毛を誘導した。また、皮膚の肥厚も誘導された。このとき、表皮および毛包において、前駆細胞の増加が認められた。この結果は、Aktシグナルにより、休止状態にある毛包の幹細胞が活性化し、前駆細胞をつくりだし、その結果、発毛が誘導されることが明らかとなった。 2、精子をつくりだす生殖幹細胞におけるAkt活性化の影響を調べた。生殖幹細胞の自己複製には、増殖因子GDNFが必要であるが、Aktシグナルを活性化させるとGDNFなしでも自己複製をおこなった。この結果は、GDNFによるAktの活性化が、生殖幹細胞の自己複製に重要であることが明らかとなった。 3、着床前の初期胚から胚性幹細胞(ES細胞)を樹立することができる。マウスの初期胚において、Aktシグナルを活性化させたが、ES細胞の樹立効率は変わらなかった。一方、薬剤処理により、GSK3のリン酸化酵素活性を阻害したところ、従来ES細胞の樹立が困難であったマウス系統からも効率よくES細胞を樹立することが可能となった。マウス以外の哺乳類への応用が期待される。
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