研究概要 |
バーシカン(旧遺伝子シンボルCspg2,現Vcan)は細胞外マトリックスの代表的な巨大コンドロイチン硫酸(CS)フロテオグリカンで、そのコア蛋白質は、ヒアルロン酸と特異的に結合するG1、他のマトリックス分子と結合するG3、中央に位置しCS鎖を共有結合するCSドメインを持つ。 平成21年度は20年度に引き続き、以下の研究を推進した。 Vcan<flox/flox>マウスと各種Cre発現マウスとの交配によって作製されたバーシカンコンディショナルノックアウト(cKO)マウスの解析を行った。 Prxl-Cre : Vcan<flox/flox>マウス:軟骨初期発生の間充織凝集部位にて特異的にバーシカンを欠失するcKOマウスは肉眼的に手足指の変形を、組織学的には手足指関節表面の傾斜と内軟骨骨化の遅延を示した。Micromass culture系による軟骨細胞分化遅延機構の検討から、VcanがG3ドメインを通じてTGFbetaの局在を制御していることが明らかとなった(Chooceep K, et al. J Biol Chem, 2010,in press)。 CAG-CreER : Vcan<flox/flox>マウス:同マウス系列にタモキシフェンを投与し、バーシカンの発現の欠失と表現型を解析中である。 Sm22-Cre : Vcan<flox/flox>マウス:当該マウスを作製したが、予想に反して大動脈に有意な異常は認められなかったが、心形成異常が見出された。現在詳細な解析を遂行中である。 上記の如くVcan cKOマウス系が樹立できたのでG1-G3のトランスジェニックマウスを作製し、cKOマウスの表現型が回復するか否かを検討する方針に変換した。同マウス作製用のベクターの設計に不備があり、現在ベクターを再設計中である。
|