次年度は、IL-27またはIL-33のin vivo投与による寄生虫感染防御作用を検討した。 (1)IL-27の生体内投与によるL. major感染抵抗性の誘導: (1)BALB/cマウスのfootpadにL. majorを感染後、1週間IL-27(1μg/day)単独またはPBS(コントロール群)を腹腔内投与し、経時的なfootpadの腫脹の計測とリンパ節内の細胞当たりのparasite burdenを測定した結果、IL-27投与群では感染の進行が阻止された。(2)その作用機序を解析した結果、IL-27投与群ではL. major感染で誘導されるTh2反応が阻止されていた。 (2)IL-33の生体内投与によるNippostrongylus brasiliensis (Nb)排虫促進作用 (1)正常マウスにIL-33を腹腔内投与すると、腸管のIL-13mRNA発現が上昇し、杯細胞は増加・肥大化して大量のムチンを産生した。(2)IL-33による上記のムチン産生誘導は、T細胞を欠損するマウス(RAG2欠損マウス)でも認められることから、IL-33は多様な細胞を標的とし、Th2細胞非依存的に線虫感染防御能を有することが示唆された。(3)Nbを外科的にマウス十二指腸に移入し、20時間後の小腸粘膜に侵入定着しているNb数を測定した結果、IL-33投与群ではNb数が著しく減少していた。(4)この排虫はIL-13依存的であった。(5)Nb第3期幼虫を感染させたマウスにIL-33を投与すると、腸管に生着している成虫数が有意に減少し、排虫を促進した。(6)このIL-33によるNb排虫促進は、T細胞非依存的であった。以上の結果から、寄生線虫の排虫機構にはIL-33を介した獲得免疫非依存的な排虫機構も存在することが明らかになった。
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