研究課題
HIV感染で生体防御に働いている細胞傷害性Tリンパ球(CTD)に対して、HIVは抗原性を変化させることでその選択圧から逃れている。本研究ではHIV抗原(エピトープ)の質の変化と、変化したエピトープに対するCTLの性状に関して解析を行った。HLA-A24 陽性感染者で高頻度に特定のアミノ酸変異が出現する肌A-A24拘束性のNef由来のエピトープに注目し、特異的CTLの性状を野生型と変異型のエピトープを提示する HLA クラス1テトラマーを用いて解析した。多くのA24陽性感染者では変異型エピトープを提示するテトラマーで染色される細胞集団が確認され、変異エピトープを認識するCTLが存在することが明らかとなった。変異エピトープを認識するCTLの性状を明らかにするため、テトラマー陽性細胞のT細胞受容体レパートリーを調べた。その結果、野生型を認識する CTL の TCR レパートリーは多様性に富んでいたのに対し、変異型を認識できる CTL の TCR レパートリーは非常に限られていた。さらに CTL の機能的状態を明らかにするためテトラマー陽性細胞の表面分子の解析を行ったところ、疲弊したT細胞で発現が上昇することが知られているPD-1分子の発現量が、変異エビトープを認識する CTL では上昇していることが明らかとなった。変異を起こしやすいHIV感染において、抗原の質の変化に対応して免疫監視機構は変異エピトープを認識するCTLを誘導するが、そのCTLの種類は少なく、機能も低下しており、HIV の排除に十分機能していないと考えられる。
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