(1)spleen focus-forming virus(SFFV)はsf-stkと複合体を形成し協調して細胞を癌化することを明らかにしてきた。本研究では、ウイルスが存在する場合、sf-stkはリン酸化され、細胞は足場非依存的に増殖をした。その細胞で、sf-stk分子をノックダウンすると、細胞は足場依存性の増殖へとなり、sf-stk分子の存在が細胞の癌化に関連していることを明らかにした。Sf-stk分子の下流で活性化している分子を検討したところ、MAPK、JNK、PI3Kの活性化が生じていることが明らかとなった。P38MAPKに関しては、トランスフォームした細胞では活性化しておらず、ストレスを与えることによっても、その細胞でP38MAPK活性を誘導することができなかった。P38MAPKの非活性化が細胞の癌化と関連することが示唆された。STATの活性化を調べたところ、STAT3の活性化が検出され、STAT1、3の活性化は見られなかった。シグナル伝達阻害剤を用いて、SFFVによる細胞の癌化について検討したところ、JNK、NEK、mTORおよびPI3Kの抑制は細胞の癌化を抑制した。これらの結果から、SFFV/stk複合体による下流分子の活性化を明らかにし、細胞の癌化に重要な分子について、明らかにした。 (2)Human T-cell Leukemia Virus Type I(HTLV-1)の発現機構について、ストレスシグナルとの関連について検討したところ、IL-2の除去により、細胞へストレスを与えたところp38MAPKの活性化が認められ、それによってHTLV-1の発現が上昇した。P38MAPKを阻害したところ、ウイルス発現は低下したことから、少なくとも、p38MAPKを介するストレス経路によってたHTLV-1のウイルス発現が調節されていることを明らかにした。
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