研究概要 |
フレンドウイルス(Friend Spleen Focus-Forming Virus ; SFFV)は感受件マウスに赤白血病を引き起こす。その感受性を規定する主因子としてsf-Stkが知られている。Sf-Stk依存性に病気を引き起こすSFFV-P, SFFV-Aまた、sf-Stk非依存性に病気を引き起こすSFFV-BB6株を用いて、PI3-kinaseの役割についてp85α欠損マウスを用いて検討1した。p85α欠損マウスでは、ウイルスによる赤白血病の発生はウイルス株に依存してその差が見られた。Sf-Stk依存性ウイルスではp85α欠損マウスでは赤自血病の発生は弱いことが明らかとなつた。一方sf-Stk非依存性ウイルス(SFFV-BB6)では、コントロールマウスと比較して赤白血病の発生にその差は見られなかった。sf-stkの346番目のチロシンがp85αと結合する部位として同定した。すなわち、sf-Stk依存性ウイルスはsf-StkおよびEpoRの両方からPI3-kinaseが活性しているものと結論され、sf-Stk非依存性ウイルスSFFV-BB6はEpoRを介して、PI3-kinaseを活性化しているものと結論された。これらの活性化メカニズムの違いが病原性発現の差として生じ、PI3-kinaseのウイルス発がんにおける役割および重要性を明らかにした。SFFVとsf-Stkが細胞内で共発現するとsf-Stkが活性化しNIH3T3細胞をトランスフォームすることを明らかにしてきた。Sf-Stkの様々な変異体を作成し、SFFVによる活性化メカニズムを検討したところ、sf-Stkの8番目および19番目のシステインがウイルスによる活性化に重要であることを同定した。おそらくこれらのシスティンを介してウイルスエンベロープとダイマーを形成しsf-Stkが活性化されることが予想された。
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