研究課題/領域番号 |
19390149
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南 雅文 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (20243040)
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研究分担者 |
上原 孝 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (00261321)
片山 貴博 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (90399957)
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キーワード | 嫌悪反応 / 扁桃体 / 分界条床核 / ノルアドレナリン / マイクロダイアリシス / 条件付け場所嫌悪性試験 / トランスポーター / NO |
研究概要 |
痛みによる不快情動生成とその制御メカニズムを明らかにするため、分界条床核の役割に関して研究を進め、興奮性神経毒による両側分界条床核破壊により、酢酸腹腔内投与やホルマリン後肢皮下投与により惹起される場所嫌悪性が抑制されることを見いだした。さらに、分界条床核腹側にノルアドレナリン神経が密に投射していることに着目し、腹側分界条床核内ノルアドレナリン神経情報伝達が痛みによる不快情動生成に関与しているか否かを検討した。酢酸腹腔内投与やホルマリン後肢皮下投与により腹側分界条床核においてノルアドレナリン遊離が増大した。また、腹側分界条床核へのβアドレナリン受容体拮抗薬投与は、ホルマリン後肢皮下投与による場所嫌悪性を抑制した。さらに、腹側分界条床核へのβ受容体作動薬投与により場所嫌悪性が惹起された。これらの結果は、腹則分界条床核内におけるノルアドレナリン神経情報伝達の亢進が痛みによる不快情動生成に重要な役割を果たしていることを示唆している。分界条床核におけるノルアドレナリン神経情報伝達が痛みによる不快情動生成に重要な役割を果たしていたことから、ノルアドレナリントランスポーターの機能修飾により、不快情動生成機構が可塑的に変化する可能性があると考え、チオール基のニトロシル化による酸化的修飾がノルアドレナリントランスポーターの機能に及ぼす影響について検討したが、NOドナー処置によりノルアドレナリントランスポーターの活性は変化しなかった。今後は、これら神経情報伝達に関わる別のタンパク質分子について酸化的修飾の影響を検討する必要があると考えられる。
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