研究課題/領域番号 |
19390150
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福永 浩司 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90136721)
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研究分担者 |
岩渕 好治 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20211766)
森岡 基浩 熊本大学, 医学部付属病院, 准教授 (20295140)
笠原 二郎 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (10295131)
森口 茂樹 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (70374949)
塩田 倫史 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00374950)
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キーワード | 脳血管障害 / 内皮型-酸化窒素合成酵素 / 脳血管保護作用 / 嗅球摘出マウス / アルツハイマー病 / 神経新生 / 認知機能 / バナジウム化合物 |
研究概要 |
新規カルモデュリン阻害剤DY-9836の脳血管保護作用のメカニズムについて追究した。マイクロスフェア脳塞栓モデルラットでは脳虚血後、脳毛細血管内皮細胞において内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の誘導が起こり、慢性期においてはべータアミロイド蛋白質の毛細血管での蓄積が見られた。特に、誘導されたeNOSはアンカップリング状態に陥っており、一酸化窒素に代って障害性スーパーオキサイドが産生されることを見いだした。DY-9836はeNOSによるスーパーオキサイドの産生を阻害することから、脳血管保護作用の新しい作用機序と考えられる。次に新規バナジウム化合物であるVO(OPT)の循環動態に対する影響をラットを用いて検討した。最大の脳保護効果を示す1mg/kg腹腔内投与では平均血圧、心機能には影響せず重篤な副作用も見られなかった。嗅球摘出マウスでは中隔野のアセチルコリン神経が変性することからアルツハイマー病モデルとして有用である。このアセチルコリン神経変性は海馬において顕著であり、嗅球摘出マウスにおける認知機能低下に関与すると考えられる。VO(OPT)(1mg/kg)の慢性投与は中隔野アセチルコリン神経変性を抑制して、同時に認知機能低下を有意に改善した。最後に、脳虚血マウスを用いて、海馬歯状回の顆粒細胞下層(SGZ)における神経新生に対する効果を検討した。VO(OPT)(1mg/kg)の慢性投与は神経新生を促進して、同時に脳虚血による認知機能低下も改善した。特に、顆粒細胞下層から顆粒細胞層へのニューロブラストの移動を顕著に促進することを明らかにした。今後は新生神経細胞が神経ネットワークに組み込まれ、記憶回路として機能するかどうかを電気生理学的に検証する。
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