研究課題
虚血性神経細胞死の抑制と脳血管保護を目的として開発したカルモデュリン阻害剤DY-9836の作用機序について検討した。マイクロスフェア脳塞栓マウスから微小血管を密度勾配遠心法で分離精製して、dihydroethidiumを基質としてスーパーオキシド産生を調べた。摘出した微小血管では脳塞栓によりeNOSが誘導され、スーパーオキジド産生は約2倍に上昇した。eNOSの阻害作用を有するDY-9836により用量依存性にスーパーオキシド産生は抑制され、1 microMにより最大50%の抑制効果が認められた。また、NADPHオキシダーゼ阻害剤, apocininの同時添加により完全にスーパーオキシド産生が阻害された。脳塞栓による微小血管障害にはeNOSとNADPHオキシダーゼによるスーパーオキシドの産生が関与することが示された。次に、バナジウム錯体化合物VO(OPT)の海馬歯状回における神経新生促進効果のメカニズムについて検討した。脳虚血施行後にVO(OPT)を慢性投与した。VO(OPT)は歯状回顆粒細胞層の新生細胞においてAktとERKを活性化し、さらにこれらのプロテインキナーゼの阻害剤の投与はVO(OPT)による神経新生を完全に抑制した。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤とは異なり、アセチルコリン遊離を促進する新規アルツハイマー治療薬ST101が海馬歯状回において神経新生促進作用を有することを見いだした。VO(OPT)と同様にST101の神経新生促進作用にもAktとERKの活性化反応が関与していた。これらの神経新生促進効果はアルツハイマー病患者の認知機能、うつ症状の改善に貢献すると考えられる。
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