研究課題
脳梗塞再発予防のための臨床応用を目指して、バナジウム有機錯体[VO(OPT)]による脳虚血耐性形成機構に着目した。げっ歯類の脳虚血耐性現象では、神経細胞死を起こさない短時間の虚血負荷を致死的な虚血前の3日前に負荷すると、虚血による細胞死は完全に抑制される。私達は以前に非致死的な短時間の虚血はプロテインキナーゼB(Akt)を海馬で活性化すること、Aktの活性化が虚血耐性形成に必須であることを明らかにした。本研究ではAktを活性化するVO(OPT)投与が、虚血耐性の形成に対する効果とそのメカニズムを追究した。VO(OPT)2.5mg/kgを虚血3日前に投与すると、虚血による海馬CAl領域における神経細胞死を50%抑制した。用量を5.0mg/kgに増やしても、神経保護効果は上昇しない。これらのVO(OPT)による虚血耐性現象は、PI3キナーゼ/Aktの阻害剤であるwortmanninによって阻害された。虚血耐性が形成させるVO(OPT)投与後3日目で、VEGFとエリスロポエチン(EPO)のmRNAを測定した/VO(OPT)投与は、海馬CA1領域でVEGFとEPOのmRNAを有意に上昇させた。VO(OPT)投与後、7日目においてもこれらの蛋白質の誘導も確認した。以上の結果はVO(OPT)はAktによるリン酸化反応によりHIF-1αの活性化され、VEGFとEPOが誘導され、血管の保護・再生を促進することを示唆している、VO(OPT)は神経細胞に直接作用して、神経細胞の虚血に対する抵抗性を増すことのできる薬剤である。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (31件) (うち査読あり 29件) 学会発表 (48件)
Biochim.Biophys.Acta. (印刷中)
PLoS One 5
ページ: e9460
Neurosci.Res. (印刷中)
J.Neurosci. 30
ページ: 3146-3155
Mol.Cell Proteomics. (印刷中)
J.Pharmacol.Exp.Ther. 333
ページ: 43-50
J.Pharmacol.Exp.Ther. 332
ページ: 421-428
Menopause 17
ページ: 213-221
Ross.Fiziol.Zh.Im.I.M.Sechenova 95
ページ: 1373-1385
Pathophysiology 17
ページ: 119-127
PLoS ONE 4
ページ: e7461
Mol.Pharmacol. 75
ページ: 101-112
Hypertension 53
ページ: 57-63
Brain Res. 1251
ページ: 7-15
Cardiovasc.Ther. 27
ページ: 17-27
Brain Res. 1265
ページ: 205-214
Expert Opin.Ther.Targets 13
ページ: 275-286
Hippocampus 19
ページ: 844-854
Autophagy 5
ページ: 339-350
Curr.Drug Targets 10
ページ: 372-383
Brain Res. 1264
ページ: 85-97
Neuroscience 160
ページ: 484-491
J.Neurochem. 110
ページ: 170-181
Int.Rev.Neurobiol. 85
ページ: 375-387
Brain Res. 1295
ページ: 218-229
J.Biol.Chem. 284
ページ: 28554-28562
ページ: 1253-1265
J.Neurosci.Res. 87
ページ: 3600-3610
Forkhead Transcription Factor : Vital Elements in Biology and Medicine(ed.K.Maiese)(Landes Bioscience)
ページ: 130-142
Handobook of Neurochemistry and Molecular Neurobiology. Neural Signaling Mechanisms(ed.A.Lajtha.Vol.ed.K.)(Mikoshiba, Springer)
ページ: 163-184
Toxicol.Appl.Pharmacol. (印刷中)