研究課題/領域番号 |
19390151
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
保住 功 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20242430)
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研究分担者 |
犬塚 貴 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50184734)
林 祐一 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00392366)
原 英彰 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20381717)
佐藤 雅彦 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (20256390)
内田 洋子 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 主任研究員 (60133633)
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キーワード | メタロチオネイン / 神経成長抑制因子 / 筋萎縮性側索硬化症 / 運動 / 脳虚血 / 精神疾患 / 抗酸化作用 / 低分子化合物 |
研究概要 |
本研究は疾患におけるメタロチオネイン(MT)の役割の解明と創薬への応用を目的としている。今年度、マウスで運動療法によって脊髄のMT-I/IIのみならずMT-IIIが誘導されることを明らかにした(Neuroscienceに掲載)。我々は昨年度、MT-3はアルツハイマー病のみならず、筋萎縮性側索硬化症(ALS)でも著減していることをヒト剖検材料で明らかにしており、(ALSに掲載)、今年度、ALSモデルマウス(G93ASOD-1Tgマウス)にMT-III cDNAを組み込んだアデノウイルスを筋肉内注射したところ、著明な症状の改善と生存期間の延長を認めた(2010米国神経学会で発表予定、抄録掲載、Ann Neurologyに投稿中)。また、有効かつ低価格の薬剤を開発する目的で、MT-3の構造を解析し、80万個のデーターベースから20個のMT-3結合低分子化合物を見出している。マウス培養細胞、モデル動物でその効果が見出され、安全性が確認できれば、即、創薬につながる。その成果をヒトへ即応用することを考え、今年度は神経変性疾患患者の不要となった歯の歯髄からiPS細胞の作製を開始し、平成21年12月岐阜で初めてALSの患者からiPS細胞を樹立した。現在、MT-IIIの効果をヒトiPS細胞で確認する段階までに至った。一方、MT-IIIが脳虚血の再還流時の活性酸素の除去に関与すること(Brain Resに掲載)、さらには自閉症などの精神疾患に関与することを見出し(Neurosci Lettに掲載)、報告した。またMT-IIIノックアウトマウスを用いてカドミウム毒性に関する作用も考察した。MTは脳虚血、糖尿病から神経疾患、さらには解毒作用、精神疾患、老化機構に及ぶまでその関与が示唆され、MTそのもの、MT関連低分子化合物による創薬としての有望な可能性と現実性が一連の本研究で明らかにされた。
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