研究概要 |
本研究では早期診断が困難な難治性の進行癌に対する早期診断法の確立を目指し、多くの被験者を対象とできる低侵襲性で簡易的さらには高感度の新しい診断法を開発することを目的とした。目的達成のために、抗体依存的に標的癌細胞に感染可能な改変型アデノウイルスを用いて、従来のELISA法、Cytometory法では評価・選別できなかった新規癌標的分子・マーカーを探索することを新たに着想しこの手法を用いてこれまでに、ヒト膵臓癌・前立腺癌・悪性中皮腫・メラノーマ・多発性骨髄腫等を免疫源として10,000以上のモノクローナル抗体をスクリーニングし、1年間で10種類以上の優秀な癌標的化抗体(スーパー標的抗体)を樹立することができた。平成19年度の研究ではこれらスーパー標的抗体を用いて新規腫瘍マーカーとしての有用性を解析し、従来の病理組織学的・免疫血清学的解析に加えて、尿中腫瘍抗原マーカー、便潜血中腫瘍マーカー、唾液中腫瘍マーカーなどへの低侵襲性の診断方法への実用化研究にも発展させることを目的とした。その結果、これまでに7種類の腫瘍マーカー測定ELISA系の樹立に成功し、検出感度も従来の報告よりも100〜10倍高めることができた。これらELISA系を用いて大腸がん患者由来便中および膀胱癌患者由来尿中に存在する癌抗原を測定した結果、大腸がん便中では抗原X(特許出願予定のため名称未記入)、および膀胱癌尿中に抗原Y(特許出願準備中)が検出され、正常検体由来便および尿よりも有為に高いことが明らかとなった。次年度はこの癌抗原をより簡便に検出できるようにイムノクロマト法および金コロイド粒子法を開発する予定である。
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