研究課題
ダニ蛋白質(Df)をNC/Ngaマウスに点鼻投与することにより、気管支喘息モデルを開発し、アルギナーゼの発現と一酸化窒素(NO)合成酵素の関連性を検討し、喘息病態における意義を検討した。すなわち、この喘息病態にIL-13の関与がどの程度関与しているかを証明するため、抗IL-13モノクローナル抗体をDfの最終的ブースター投与前と2日後に静脈投与した。その結果、アルギナーゼの発現が有意に抑制され、気道抵抗(AHR)の改善、肺胞洗浄液細胞分画中の好酸球の減少、肺組織のNOxの増加、組織学的炎症像の改善、気管支分泌液の減少、肺間質コラーゲン繊維の減少等が観察された。特に、アルギナーゼの発現抑制とNOxの増加、AHRの改善は、IL-13によるシグナルがIL-13受容体を介してアルギナーゼの発現を誘導することを証明するとともに、アルギナーゼの制御により一酸化窒素合成酵素(NOS)からのNO産生増加によりAHRが改善したことを証明できた。また、アルギナーゼの発現抑制により肺間質のコラーゲン繊維の有意な減少を認めたことは、アルギナーゼがremodeling病態に関与しており、アルギナーゼの発現抑制又は酵素活性抑制がremodelingを抑制できることを証明したものであり、AHRの改善と併せて、アルギナーゼの制御が喘息病態を改善する重要な因子であることが証明された。Df蛋白質をマウス由来マクロファージに添加し、アルギナーゼの発現とiNOSの発現の関係を検討しており、アルギナーゼ発現細胞とiNOS発現細胞とは異なる結果を得ているが、M1とM2の細胞マーカーを用いて現在、蛍光二重染色により識別を行っている。この喘息モデルにおける、特異的蛋白質発現を検出するために、正常NC/Ngaマウス肺のホモジネート蛋白質及び肺胞洗浄液上清の蛋白質の特異抗体を作成中である。この抗体で、喘息肺のホモジネート及び肺胞洗浄液中の蛋白質を吸収し、残った蛋白質のプロテオミクス解析を行う予定である。食品栄養因子としてのマンガン量を制御することによる喘息の発症予防の可能性について、低マンガン食をNC/Ngaマウスに与え、アルギナーゼ活性の抑制を現在検討中である。
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