研究課題/領域番号 |
19390163
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
荻野 景規 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70204104)
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研究分担者 |
汪 達紘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90294404)
瀧川 智子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90403493)
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キーワード | アルギナーゼ / アルギナーゼ阻害剤 / ステロイド / 喘息 / 呼気NO |
研究概要 |
1.ダニ蛋白質惹起喘息モデルにおけるアルギナーゼ阻害剤によるアルギナーゼ制御と病態変化 アルギナーゼ阻害剤であるnor-NOHAを用いて喘息病態で、気道抵抗及び組織学的炎症所見の改善が、阻害剤の抗炎症作用によることが指摘された。この抗炎症作用が、阻害剤自体の特徴かアルギナーゼを阻害したために発生した現象かを検証する必要があり、その最初の過程として、ステロイド(プレドニゾロン)と比較した。プレドニゾロンはアルギナーゼ活性、発現を同様に抑制するが、サイトカインの抑制を認めず、窒素酸化物の増加も認めなかった。アルギナーゼ活性及びアルギナーゼ発現では、アルギナーゼ阻害剤とプレドニゾロンが作用を拮抗する所見が得られた。このことより、アルギナーゼ阻害剤の抗炎症作用は、ステロイドとは異なる機序であることが判明し、気道抵抗抑制作用から即効性の治療薬としての開発が期待される。 2.アルギナーゼ阻害剤の開発 某製薬会社と現在、共同研究でアルギナーゼI阻害剤のスクリーニングを行っている、約5万種の化合物をから4つの化合物が残り、そのうち1つは既存の阻害剤とほぼ同様の阻害効果を示したが、細胞毒性が強いことが判明し薬の開発には無理であることになった。現在、さらに5万種の化合物のスクリーニングを行っている。 3.ヒト喘息における血清中アルギナーゼの臨床研究 健常者30名、喘息患者23名の血清を採取し、血清アルギナーゼ量をELISAで測定し、臨床検査データとの相関を検討したところ、喘息患者の血清アルギナーゼは健常者より約2.6倍高値を示し、吸入ステロイドにより影響されず、健常者では、年齢と負の相関があり、喘息患者では、呼気NO、血清アルギニン、IgEと負の相関、肝機能、高感度CRPと正の相関を認めた。さらに、呼気NOと血清アルギニンは正の相関を認めた。すなわち、血清アルギナーゼは血清アルギニンを介して呼気NOを制御している可能性が指摘された。
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