本研究は、食品由来物質の発がん抑制メカニズムを発がんに至る各段階において総合的に解明し、効果的で安全な発がん予防法を開発することを最終目的とする。トマト由来リコペンを中心として、緑茶カテキン、ビタミンC、ビタミンE、バニリン、シナモン、大豆抽出物等の食品由来物質を選び、下記の5つの目的について研究を進めている。 1.突然変異抑制機構の解明(主に自然発生突然変異) 2.エピジェネティクスへの影響 3.細胞シグナル伝達への影響 4.増殖機構への影響 平成19年度においては、計画通り目的1、2について解析を進めた。その結果、トマト由来リコペンはDNA修復関連遺伝子の発現を上げることでinsertionsを特異的に抑制している結果を得た。また、遺伝性大腸がんに多くみられるゲノムの不安定性への影響についても評価を行った。平成20年度においては、他の食品由来物質について、リコペンを用いた実験で確立した方法を用いて同様に評価し、さらに目的3、4について進める予定である。 蓄積した個々の食品由来物質のデータを基に、発がん抑制作用を示した物質について、作用の異なる物質同士、あるいは作用の似た物質は濃度を下げて組合せ、もう一度各エンドポイントについて検討し、発がん予防に最適な物質およびその組合せについて明らかにする。
|