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2008 年度 実績報告書

石綿工場労働者のコホート研究:石綿の種別、サイズ分布及び曝露繊維数に注目して

研究課題

研究課題/領域番号 19390167
研究機関帝京大学

研究代表者

矢野 栄二  帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)

研究分担者 神山 宣彦  東洋大学, 経済学部, 教授 (80133643)
キーワード石綿 / クリソタイル / アンフィボール / 曝露評価 / 量反応関係 / コホート研究 / 患者対照研究 / 発がん
研究概要

石綿の発がん性についてはよく知られているが、石綿繊維種によるがん発生頻度の差について研究者の意見は大きく対立したままで、クリソタイルの発がん性が低いとする主張がある。そこでクリソタイルしか用いていない中国の石綿工場でコホート内症例対照研究を行った。症例は1975年から2001年までに肺がんとなった男性41例で、各症例に年齢を5歳以内マッチした男性5人、計205人を対照とした。これまでに行ってきた職場単位の石綿繊維の作業環境中濃度測定結果を基に、工程で7つの職場に分かれている労働者を曝露状態で3群に分けた。患者と対照の曝露程度を基に条件付きロジスティック回帰分析を行った結果、曝露濃度の高い原料、繊維職場では低曝露のセメント職場や事務の3倍の肺がんが見られた。喫煙の影響もこれに近かった。また高曝露の喫煙者の肺がんは9倍以上であり両者に相乗作用が見られた。
一方クリソタイルの発がん性を混入するアンフィボール系のトレモライトに帰する意見がある。そこで石綿工場での中皮腫症例に関連して、原料や作業環境気中と肺内石綿の種別を分析した。すると繊維種別比は両者で逆転して、前者では極めてわずかしか存在しないトレモライトが、肺内では大半を占めクリソタイルは極めてわずかしか観察されなかった。この逆転の機序としてはクリソタイルの繊維形による肺への吸入や肺末梢への到達力の空力学的な差、肺内でのクリソタイル繊維の方がはるかに溶融、崩壊および食細胞等による排出を受けやすいこと、および標本として切り出された後でホルマリン液が酸性化することによる液中でのクリソタイルの選択的溶解などが考えられる。これらの可能性について論ずるとともに、純度の高いクリソタイルも高濃度曝露が低年齢から続くと比較的若い年齢で中皮腫になるケースがあることを、発表した(Am J Ind Med,2009;52:282-7.)。今後さらに2005年までの34年間のコホートについての解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] MesotheJioma in a worker who spun chrysotile asbestos at home during Childhood2009

    • 著者名/発表者名
      Yano E. Wang ZM, Wang XR, Wang MZ, Takata A, Kohyama N, Suzuki Y
    • 雑誌名

      Am J Ind Med. 52

      ページ: 282-287

    • 査読あり
  • [学会発表] Cancer mortality by exposure to chrysotile asbestos and smoking : a case-control study within a cohort in China2009

    • 著者名/発表者名
      Yano E. Wang XR, H Qui, Wang MZ, Wang ZM
    • 学会等名
      Internaiional Congress on Occupational Health 2009
    • 発表場所
      Cape Town
    • 年月日
      2009-03-25
  • [学会発表] 石綿実践講座専門学術団体としての学会のおり方とリスク管理2008

    • 著者名/発表者名
      矢野 栄二
    • 学会等名
      第81回日本産業衛生学会総会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2008-06-25
  • [学会発表] Cancer mortality among chrysotile workers 34 years follow up2008

    • 著者名/発表者名
      Yano E, Wang XR, Wang ZM, Wang MZ. YJ Lan
    • 学会等名
      20th International Conference on Epidemiology in Occupational Health
    • 発表場所
      San Jose (Costa Rica)
    • 年月日
      2008-06-09

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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