研究課題
本研究は、血液細胞を用いて、個体の放射線感受性および遺伝的不安定性を反映する細胞遺伝子損傷を正確に検出できる簡便な方法、ならびに放射線感受性の個人差に関係する可能性が考えられるDNA修復遺伝子多型の解析方法を確立する。さらに、確立された方法を用いて、原爆被爆者コホートでの放射線感受性および放射線誘発遺伝的不安定性の評価を行い、放射線発がんとの関係を検討する。本年度は以下の成果が得られた。1.X線を2.5Gy全身照射したマウスを用いて、照射1年後の網状赤血球小核頻度を測定した結果、同じ週齢の非照射マウスに比べて有意な小核頻度の上昇が認められた。これは放射線で誘発される遺伝的不安定性が照射後長期にわたって生体内で持続する証拠であり、原爆被爆者においても遺伝的不安定性が依然として持続している可能性を示唆する。2.ヒトにおける網状赤血球小核頻度測定法を確立した。現在、原爆被爆者コホートにおける測定を進めている。3.DNA修復関連遺伝子の多型解析の候補としてDSB修復に関わるATRとNBS1に注目し、原爆被爆者コホート約2000名を対象に、一塩基多型(SNP)部位を同定した。ATRで4部位、NBS1で8部位のSNPに関して連鎖不平衡を解析し、それぞれハプロタイプブロックを決定した。ATRハプロタイプ頻度は、major allele 0.540、minor allele 0.441、NBS1ではmajor allele 0.512、minor allele 0.466であった。これらのハプロタイプと放射線感受性および遺伝的不安定性との関連について解析を進める。
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Int J Radiat Biol 84
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Cancer Sci 98
ページ: 1840-1844
http://www.rerf.jp/library/rr/rr0708.htm