研究課題/領域番号 |
19390171
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
栗山 進一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90361071)
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研究分担者 |
加我 牧子 東北大学, 国立精神・神経センター・精神保健研究所, 所長 (20142250)
呉 繁夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10205221)
安原 昭博 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70158004)
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キーワード | 脳神経疾患 / 自閉症 / ビタミンB6 / IQ / ランダム化比較試験 |
研究概要 |
自閉症におけるビタミンB6反応性を予測する徴候・バイオマーカーを明らかにするため、適格基準を満たした12名の患者およびその親権者から研究参加の同意を得た。患者は体重1kgあたりビタミンB65mgを2週間、10mgを2週間、計4週間服用した。平成19年度の5名と合わせ、17名の患者の研究結果について統計解析を行った。 患者の平均年齢は8.6歳で、男児が14名、女児が3名であった。Clinical Global ImpressionのGlobal Improvementの評価および広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度、異常行動チェックリスト、S-M社会生活能力検査などの神経学的検査の各得点の変化から、4名が「非常に改善された」(有効群)、13名が「わずかに改善された〜変化なし」(無効群)と判定された。 有効群4名と無効群13名との間で、臨床観察による徴候の違いを比較したところ、音への過敏を有する者の割合に大きな違いがみられた。有効群4名のうち3名に音への過敏がみられ、無効群13名のうち、音への過敏がみられたのは4名であった(p=0.002,Fisherの直接確率計算法)。その他の臨床観察による徴候には、有効群と無効群間で統計学的に有意な違いはみられなかった。 現時点でアミノ酸分析結果を含めたすべての血液検査結果が得られているのは17名中8名で、このうち4名が有効群、4名が無効群であった。血中のセロトニン値、ドパミン値、アドレナリン値、ノルアドレナリン値には大きな違いはみられなかった。一方、血中アミノ酸値のうちグルタミン値(基準値420-700nmol/mL : Gln値)には大きな違いがみられた。有効群4名のGln値のビタミンB6服用前の平均値は397.2、無効群のそれは462.5で、これらは統計学的に有意な差であった(p=0.01)。また、有効群4名のGln値の平均はビタミンB6服用前後で397.2から474.0へと変化し(p=0.04)、無効群では462.5から483.9への変化であった(P=0.55)。以上から、音への過敏および血中グルタミン値の低値がビタミンB6反応性と関連する可能性が示唆された。
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