研究課題/領域番号 |
19390174
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
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研究分担者 |
井上 真奈美 国立がんセンター, がん予防・検診研究センター, 室長 (70250248)
玉腰 暁子 愛知医科大学, 医学部・公衆衛生学, 准教授 (90236737)
小池 和子 植草学園大学, 保健医療学部, 教授 (60110508)
伊達 ちぐさ 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (60047389)
北村 明彦 (財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 部長 (80450922)
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キーワード | 動脈硬化 / 酸化 / 生活習慣 / リスク / コホート研究 |
研究概要 |
本研究は、一般集団を対象とし酸化促進・抑制因子の動脈硬化疾患の発症への関与を、古典的危険因子や生活習慣を調整もしくはそれらの要因との相互作用を分析して、疾患の効率的な予防を行うための疫学的エビデンスを得ることを目的とする。そのために, 日本人住民40~79歳男女約7万人を対象として、prospective nested-case control studyの手法を用いて、その中から脳卒中、虚血性心疾患の発症・死亡例と、性、年齢、地域をマッチさせた対照例に対して、凍結保存血清中の酸化促進・抑制因子を測定し、身体因子、生活習慣のデータと合わせて、動脈硬化性疾患リスクへの影響を分析した。 3年間の研究期間で、脳卒中死亡529例、虚血性心疾患死亡212例、脳卒中発症1307例、虚血性心疾患発症238例を新たに特定して対照者の選定を行い、酸化促進・抑制因子との関連を解析した。その結果、虚血性心疾患の発症・死亡リスクの促進因子として炎症マーカーのhs-CRPの高値、慢性持続性感染を反映する肺炎クラミジアIgA抗体の高値が、抑制因子として魚・n3系不飽和脂肪酸の摂取、ポリフェノール(ダイゼイン・ゲニステイン、フェルラ酸)が見出された。脳卒中、特に脳梗塞の発症・死亡リスクの促進因子としてhs-CRPの高値、抑制因子として抗酸化ビタミン(ビタミンC)の摂取が認められた。これらの因子の中でも、魚・n3系不飽和脂肪酸の虚血性心疾患の抑制作用は特に強く、強力な酸化促進作用を有する喫煙をしている者においても、魚を毎日摂る人では非喫煙者で魚をあまり摂らない人の発症リスクとほぼ同等であった。しかしながら、ビタミンCの摂取による脳卒中の抑制作用は喫煙により減弱される傾向が認められた。本研究により、日本人の動脈硬化性疾患の発症・死亡に関わる主要な酸化促進・抑制因子が同定された。
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