研究分担者 |
福島 若葉 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70420734)
大藤 さとこ 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (70433290)
近藤 亨子 大阪市立大学, 医学部, 技術職員 (80420727)
前田 章子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (40250279)
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研究概要 |
「在宅療養高齢者」におけるインフルエンザワクチンの有効性、ワクチン以外の発病修飾因子を検討した。また、2009年の「新型インフルエンザ」発生に伴い、高齢者に対する新型インフルエンザワクチン接種方策について西太平洋地域の動向を調査した。 1. ワクチン有効性、ワクチン以外の発病修飾因子の検討 65歳以上の訪問看護利用者251人を対象に、前向き観察研究を行なった。調査期間は、2008年12月15日から2009年4月19日である。期間中23人(9%)に「呼吸器症状を伴う38度以上の発熱(インフルエンザ様疾患:ILI)」を認めた。対象地域でのインフルエンザ流行規模は小さく、ワクチンの有効性を検出するには至らなかった(調整オッズ比=1.09,95%信頼限界=0.37-3.15)。ILI発病修飾因子として「栄養摂取形態が経管・中心静脈栄養」(10.5,2.76-39.6)、「ステロイド・免疫抑制剤使用」(2.07,0.45-9.45)が示唆され、インフルエンザ流行期間に限定した解析でこれらのオッズ比上昇はさらに顕著となった。 2. 西太平洋地域における高齢者の新型インフルエンザワクチン接種方策 西太平洋地域の中・低所得国16ヵ国では、WHOを通じて国民の10%に新型インフルエンザワクチンが供給されることになっている。しかし、これらの国々で65歳以上の高齢者にワクチンがいきわたることは少ない。65歳以上の高齢者は、新型インフルエンザの罹患率・入院率・死亡率が他のリスクグループと比較して低い、という報告があり、この論拠が接種方策に反映されていた。 インフルエンザ合併症や死亡のリスクが高い「在宅療養高齢者」におけるILI発病修飾因子として、「栄養摂取形態が経管・中心静脈栄養」、「ステロイド・免疫抑制剤使用」を示した。本結果は、抗ウイルス薬予防投与やワクチン接種の優先対象を特定するために有用である。
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