研究概要 |
レセプト等の業務データを疾病サーベイランスに活用するための情報基盤として,レセプト傷病名の妥当性およびレセプトの情報構造のオントロジー化と今年度も引き続き取り組んだ。岡本は日本医療データセンター(JMDC)社のレセプトデータを用いたインフルエンザ薬オセルタミビルの安全性評価の論文を国際誌に掲載した他,レセプト傷病の妥当性を検証した論文を日本疫学会誌に掲載した。分担研究者谷原は,レセプトに不可避的な「疑い病名」の妥当性を外来レセプトで評価した論文が国際誌に受理された他,感染症サーベイランス疾患の麻疹および性感染症に関する分析結果を学会発表し投稿中。分担研究者田中および研究協力者(中谷,広井)は,医療費請求書たるレセプトの傷病名を疾病サーベイランスに活用できることを可能にするレセプトオントロジー開発ととりくみ,現行電子レセプトのcsv形式に変わる電子カルテ形式(Clinical Document Architecture Release2, CDAR2)に準拠したXML形式で調剤レセプトを記述したひな型を作成し医科レセプトにも順次拡大の予定。その他,今年度においては,全国の医療機関コードとその名称,所在地等のファイルを作成し,2011年度までに予定されているレセプト完全オンライン化時の疾病サーベイランスシステム構築のための準備を進めた。残念ながら2008年度より稼働している国のレセプトナショナルデータベースについては研究利用ルールが年度内に告示されなかったため,今年度は申請できなかったが,電子レセプトデータの心臓部にあたる摘要欄を分析可能にする「正規化プログラム」をバイオコミュニケーションズ社と共同開発した他,熊本県国民健康保険団体連合会とレセプトによる感染症サーベイランスシステム構築で合意に達する等,最終年度に実際にレセプトサーベイランスシステムを構築するための準備を終えた。
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