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2007 年度 実績報告書

砒素中毒の病態形成の分子機構-法医分子中毒学的解明を目指して-

研究課題

研究課題/領域番号 19390187
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

木村 章彦  和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60136611)

研究分担者 近藤 稔和  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
石田 裕子  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10364077)
キーワード砒素中毒 / IL-6 / autophagic cell death / STAT3 / ERK / 腎障害
研究概要

砒素中毒の病態形成におけるIL-6の役割をIL-6KOマウスおよび野生型マウスを用いて検討した。本研究の開始時においてIL-6KOマウスは野生型マウスに比べて砒素に対する感受性がより高いことを明らかにしていたが、19年度はその分子機構を明らかにすべく研究を行った。砒素投与により誘導されるサイトカイン、ケモカインは両系統のマウスに明らかな差を認めなかった。さらに、砒素排泄に関わるトランスポーターの発現にも有意差はなく、それに伴って腎からの砒素の排泄にも差を認めなかった。しかし、IL-6KOマウスにおいて腎尿細管上皮細胞のautophagic cell deathの頻度が野生型マウスに比較して著明に高いことを見出した。このことがIL-6KOマウスが砒素に対して高い感受性を示す直接的な原因と考えられる。そこで、autophagic cell deathの制御に関与すると考えられるERKのリン酸化を検討すると、砒素により誘導される腎でのERKのリン酸化がIL-6KOマウスにおいて野生型に比べて有意に亢進していた。さらに、IL-6とERKリン酸化の関係を明らかにするために、マウス尿細管上皮細胞株(mProx24)を用いて抗IL-6抗体、JAKインヒビター(AG490)およびERKインヒビター(PD98059)の砒素によるautophagic cell deathに対する影響を検討したところ、IL-6/JAK/STAT3のシグナルがERKの活性化を抑制することが明らかとなった。このことから、砒素による腎障害においてIL-6はSTAT3の活性化を介してERKのリン酸化を阻害することで尿細管上皮細胞のautophagic cell deathを抑制して、保護的に機能することを明らかになった。また、砒素にに対する感受性の性差についても、より感受性の高い雌マウスの腎でERKのリン酸化の亢進を認めたことから、感受性の性差の本質はERKの活性化の差と思われる。20年度にはエストロジェンとJAK/STAT3のクロストークとERKの活性化の関係を明らかにしていく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] IL-6 plays a protective role in arsenite-induced renal injury2007

    • 著者名/発表者名
      木村 章彦
    • 学会等名
      日本免疫学会総会
    • 発表場所
      東京都港区グランドプリンスホテル新高輪
    • 年月日
      2007-11-22

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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