研究課題/領域番号 |
19390188
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大澤 資樹 東海大学, 医学部, 教授 (90213686)
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研究分担者 |
長谷川 巖 東海大学, 医学部, 助教 (00433912)
木村 亮介 東海大学, 医学部, 助教 (00453712)
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キーワード | 突然死 / 乳幼児 / QT延長症 / 不整脈 / 無呼吸症候群 / 遺伝子解析 |
研究概要 |
突然死には剖検を実施しても、死因が不明とせざるをえない症例が含まれる。このような症例は、乳幼児と青年男性の睡眠中に好発し、特に前者は乳幼児突然死症候群(SIDS)として知られている。想定されている原因は、睡眠時無呼吸発作、致死的不整脈、感染に対する異常な免疫反応などであるが、剖検時に特異的所見を得るごとは難しく、死後に遺伝子異常を検出し疾患を推定してゆくことは一つの方法である。今回の研究では、原因遺伝子とされているPHOX2B・RET・SCN5A・KCNQ1・KCNQ2・KCNE1・KCNE2・KCNH2・NOS1AP各遺伝子について、突然死症例のエクソン部を中心としたDNA配列を解析し、変異を検出した場合に、タンパク機能に異常をきたす可能性があるのか判断し、疾患との関連性を検討した。日本人SIDS42症例について調べたところ、睡眠時無呼吸発作を主症状とする先天性中枢性低換気症候群の原因となるPHOX2B遺伝子内のポリアラニンの異常伸長は検出されなかった。一方で、QT延長症の原因となりうるKCNQ1・KCNH2・SCN5A遺伝子に非同義置換を4例に検出した。SCN5A遺伝子内の1置換を除けば、新規の置換で、発現実験より機能異常も考えられた。また、心電図上のQT間隔はNOS1AP遺伝子内のSNPに強く規定されていることが報告されているので、連鎖解析を実施したところ、SIDS発症に特定の型が有意に検出され、このSNPが突然死発生に影響を与えている可能性を得た。すなわち、原因不明とされてきたSIDSの1割程度は、致死的不整脈が原因で死亡している可能性が推定され、遺伝子異常を考慮しなければならない症例が含まれていることが分かった。今後は、さらに成人発症例に対し、同様の検討を加えてゆく必要があると考えている。
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