第IV期悪性黒色腫患者10名と遠隔転移を伴う甲状腺癌患者6名に対し、腫瘍溶解液を抗原とする樹状細胞療法(第I相臨床研究)行った。悪性黒色腫でmixed responseを示した2例では、多数の転移巣の壊死とそれに続く腫瘍の縮小あるいは消失が認められた。検索の結果、悪性黒色の治療反応症例にのみ、治療後に炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase II:CAII)に対する抗体が上昇していることが明らかとなった。CAIIの局在を調べたところ、腫瘍血管内皮に特異的に染色され、正常血管内皮には認められなかった。これらの事実から本研究の目的は、(1)樹状細胞療法の反応例における腫瘍血管を破綻させる抗体の検索、(2)腫瘍血管内皮様に分化させたhUVECを抗原とした腫瘍免疫療法の確立とした。(1)についてメラノーマ腫瘍cDNAライブラリーを作製した。腫瘍組織の一方向性のcDNA合成を行い、ZAP Express XRにcDNAを挿入し、一方向性ライブラリーを作製した。各プール3ー4万個の独立クローンを含むようにプール化し、amplificationを行った。メラノーマ腫瘍由来のライブラリーを3種類作製してスクリーニングを行った。次に患者血清を用いたスクリーニング行った。しかし平成20年度には陽性クローンは得られていない。(2)の腫瘍免疫療法については動物実験を行いその効果を確認した。論文を投稿し受理された
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