研究課題
私たちは様々なストレス性環境要因(放射線、紫外線、薬物等)が細胞を死に至らしめる時、細胞がどのように反応し、免疫系が変化した自己をどのように認識するかを解析している。私たちの仮説は以下である。ストレス性環境要因は細胞に多量の活性酸素を発生させ、この活性酸素が細胞死を導くとともに様々な細胞成分を酸化させる。マクロファージ系の細胞は死細胞を貪食し、非自己に変異した細胞成分をT細胞に提示する。自己あるいは変異自己に反応するT細胞はB細胞に作用し、自己抗体を産生させる。この反応は一過性であり、多くは自己免疫を制御するT細胞、樹状細胞の働きでもとに復帰する。全身性強皮症は現在対症療法しか治療法がなく、予後が不良である。これまで、ブレオマシン皮下投与による皮膚限局性強皮症モデルマウスが東京医科歯科の皮膚科のグループ,米国のグループが報告して来た。私たちは活性酸素を産生するブレオマイシンを2ヶ月齢マウスに連続皮下投与すると、著しく病態がひとの全身性強皮症に似ているモデルマウスの作製に成功した。このモデルマウスはBALB/c.C3Hマウスで、ブレオマシン連続投与後、皮膚病変のみでなく、全身に病変がみられることが、組織染色で判明した。特に食道の病変は全身性強皮症に特徴的であり、食道平滑筋の萎縮、繊維芽細胞の増殖とコラーゲン繊維の増大が見られた。また、胃粘膜、腸粘膜のびらんもみられ、T細胞浸潤が見られたそのマウスの脾臓細胞を採取し、そのまま、あるいは磁気によりCD4T細胞のみを分離後、正常ヌードマウスに移入すると、皮膚病変、食道等強皮症の病変が再現できた。一方ブレオマイシンを生後3日以内のマウスに投与すると、唾液腺の破壊と、リンパ球浸潤がみられるシェーグレンモデルマウスが作製された。
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