研究課題
私たちは様々なストレス性環境要因(放射線、紫外線、薬物等)が細胞を死に至らしめる時、細胞がどのように反応し、免疫系が変化した自己をどのように認識するかを解析している。私たちの仮説は以下である。ストレス性環境要因は細胞に多量の活性酸素を発生させ、この活性酸素が細胞死を導くとともに様々な細胞成分を酸化させる。マクロファージ系の細胞は死細胞を貪食し、非自己に変異した細胞成分をT細胞に提示する。自己あるいは変異自己に反応するT細胞はB細胞に作用し、自己抗体を産生させる。活性酸素で変異した自己成分をマクロファージが認識することで、従来の自己免疫ばかりでなく、成人病として知られる多くの疾患の病態を形成すると考えられる。例えば、酸化LDLは動脈硬化を引き起こす。ここでは環境ストレスは免疫系に作用し、多くの疾患の引き金になったり、病態形成に関与するといった仮説の実証の研究を多なった。昨年までに、活性酸素を産生させることで知られるブレオマシンが、全身性強皮症や、唾液線炎を誘発すること、同様に活性酸素を産生させるDSSは腸炎を起こすと同時に全身性ストレス応答を誘起して胸腺を萎縮させることを見いだした。最終年度はDSS腸炎が潰瘍性大腸炎を発症させる生体はそれを抑制するモノサイト系細胞が脾臓中心に現れてくることを見いだた。また、免疫系細胞は老化に伴いT細胞系が低下し、ミエロイド系が相対的に増加することが知られているが。ストレス応答で発現が上昇するGADD34遺伝子欠損マウスではこの現象が早期にみられ、GADD34はミエロイド系への分化に何らかの影響を与えている可能性を見いだした。
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