研究概要 |
本研究から,微生物由来の活性物質をトランスポーターなどの腸上皮細胞膜分子が認識し,腸管組織の恒常性維持するという新しい宿主-細菌相互作用機構の存在が明らかになった.この機構は主にバシラス菌や乳酸菌などのプロバイオティクスが産生する活性物質の作用を仲介する.また,これら微生物由来の活性物質は腸管保護作用や抗炎症作用を有することも示した.一方,内因性抗菌ペプチドであるhuman defensin (HD)-5および-6に抗炎症作用があることを明らかにし,さらにHD-5はアミノ酸の一種であるイソロイシンによって分泌が誘導されることを示した.これらの成果から,細菌由来の活性物質やHD-5などの抗菌ペプチド,およびその誘導作用を持つアミノ酸(イソロイシン)を用いた,新規腸管障害治療法の開発が期待される.
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