肝癌進展過程において種々のサイトカインの発現異常が報告されている。肝癌における樹状細胞の活性化を誘導させうるサイトカインを同定するため、第一に、慢性肝炎、肝硬変と比較し、肝癌において特異的に発現する分子の同定を540種類の分子を搭載した蛋白アレイを用いて解析し、肝癌において特異的に変動する分子を同定した。方法としては、蛋白アレイ(540分子搭載)解析には、慢性C型肝炎・肝硬変の肝細胞癌5例の癌部・非癌部の組織を使用し、肝細胞癌においての分子の発現レベルについて、各スポットのシグナルを数量化させ網羅的に解析した。変化の見られたサイトカインについては、Western blotおよび、ABC法を用いた免疫染色により確認した。さらに、階層的分類を用いたクラスター解析もおこなった。非癌部の肝硬変と比較し、肝癌において増強していたのは、Activin・CD40・FGF・Glut・IL-17・TGF-betaであり、これらは、Western blotおよび免疫染色により同様の結果であることが確認された。階層的分類法を用いたクラスター解析の結果、癌部、非癌部におけるサイトカインの発現パターンは異なるプロファイリングを形成していた。また、免疫染色の結果から、非癌部より、癌部において樹状細胞が集積していた。 肝癌の進展過程において、Activin・CD40・FGF・Glut・IL-17・TGF-betaのサイトカインの上昇が関与している可能性ある。さらに、樹状細胞への集積への影響にも関与している可能性がある。
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