研究概要 |
肝癌進展過程において、種々のサイトカイン分子の発現異常が報告されている。肝癌における樹状細胞の活性化を誘導させるサイトカイン分子を同定するため、肝硬変、肝癌において発現しているサイトカイン分子はタンパクアレイを用いて解析した。このサイトカインアレイは、507分子が搭載されている。肝癌において発現していたサイトカイン分子については、Western blotおよびABC法を用いた免疫染色により確認した。まず、肝癌において、GCSF,sgp130,IL-1a,GROのサイトカインの上昇がみられた。これらのサイトカイン分子は、肝癌の樹状細胞を活性化させる働きがある可能性がある。 また、マイクロRNA(21~25塩基程度のnoncoding RNA)は、複数のターゲット遺伝子を抑制する新たなタンパク質発現制御機構である。最近、種々の癌細胞において、マイクロRNAの発現パターンが著明に変化していることが報告されており、マイクロRNAが、細胞の癌化に関与しているのではないかと推測されている。よって、肝癌の樹状細胞を活性化させるマイクロRNAを同定するため、肝硬変と比較し、肝癌において、変動するマイクロRNAを解析した。肝がんにおいて増強しているマイクロRNAは、調べた338分子のうち、16マイクロRNAあり、減少しているマイクロRNAは、 13分子あった。これら肝癌において変動しているサイトカイン分子、マイクロRNAが樹状細胞への集積および活性化に影響している可能性がある。
|