研究概要 |
本研究では、C型肝炎からの肝発がん過程に酸化的DNA損傷の修復遺伝子群の異常が関与するかを検証することを目的としている。平成19年度の検討では、以前に、C型肝癌で有意に検出されることを我々が新たに見出したMutyh遺伝子SNP(rsXXXXXXX)のhetero/minor homo形質の持つ意義を検討する目的で、まずゲノムワイド網羅的SNP解析から遺伝子連鎖解析を行っているところである。現段階では、上述したhetero/minor homo形質を呈する患者DNAサンプルを用いて700,000種類のSNP arrayにて解析し、Mutyh遺伝子座(1番染色体)近傍の遺伝子SNPの中で連鎖している候補遺伝子を840種類に絞り込んだ。現在さらにサンプルサイズを増やして検討中であり、平成20年度内には同定できるものと予想している。また、もう一つのアプローチとして上述したMutyh SNPはintron内に存在するため、転写・翻訳を規定している可能性についても検討中であり、SNP変異を導入したLUC発現ベクター系を構築し、SNP形質とMutyh遺伝子発現について検討する準備が整ったところである。最終的には、Mutyhの発現異常がC型肝癌の発症に関与する可能性について明らかにする予定である。
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